カニクリームコロッケは、お母さんの手料理の中でも断トツに大好きな一品。
本当ならいつも4つお皿に乗ってるはずだけど、サラダの横にあるのは、1つだけ。
お小遣いもないわたしが外で食べてくるなんてあり得ないのに……。
マイナスな思考に走りかけたのを、慌てて打ち消す。
1個でも食べられるだけよかった。
手を合わせていただきますをする。
「あ、それでさっきの続きだけど〜」
わたしのせいで中断されてしまった会話が再開して、お父さんとお母さんは笑いながら熱心に聞いていた。
龍泉閣のこと……言わなきゃ、だけど……。