寒気を覚えるほどの、冷たい声。

わたしを拘束していた彼らの手が一瞬で離れていく。


瞬きで、最後の涙が落ちた。



「中へ入れろ」

「え? でも、しかし……」

「いーから中へ入れろ。その女は俺が許した」

「っ──」



視界がクリアになって、“彼”の姿をはっきりと捉える。


そこに立っていたのは、“京静日”という名の、龍泉閣、十三代目皇帝……。


紛れもない、皇帝、だった。


唯一無二の孤高の存在。

本能ながらに理解ってしまう。


学校で会ったときとは違う、禍々しいほどのオーラだった。息も、できないくらい……。


わたしを囲んでいた人たちは呆然とこちらを見つめて、しばらく動かなかった。

たぶん動けなかった。



「お前ら、すばるを誰だと思ってんの」



京様がゆっくりと歩み寄ってくる。

それから……わたしの肩を、優しく抱いた。



「俺が初めて此処に招いた女だ。──この意味、わかるか?」