恋と旧懐~兎な彼と1人の女の子~

つまり,言うんだよね。



「それ,だめだから……男の家に行くのも」

「なんで?」

「何でじゃない。これ,普通の感覚だから。とりあえず黙って頷いて」

「はい…」



そうだよね……弘。

普段一緒にいるせいか,今は近くにすらいないだろう弘に思考で丸投げる。

そんな俺の心など露しらず。



「んー。ちょっと待って? スマホで近くの公園でも探すから」



愛深はもうスマホに目を落としていた。



「や,いい。ついてきて」



俺はそういって歩き出す。

当てならあると,思い出すまでもなく。

歩き始めて直ぐ,そのペースは愛深に合わせた。