「いとこんとこの家族がプラネタリウム行こうとチケット買ったらしんだけど,予定が入っちゃったみたいで……3人で,どう?」



いつもより素早く昼食をすませた愛深が,おずおずと俺たちに聞く。

俺が何かをいうよりもまず,弘が嫌そうな顔をした。



「は? 3人で? まぢでいってんの? 俺も誘ってる?」



香山 弘(かやま ひろ)

俺の小学生の時からの,唯一気のおける友達。

俺は弘がすっとんきょうな声をあげるのを聞きながら,2人のやり取りを頬杖をついて眺めた。

いつもの事だ。

愛深がこの教室に来てまず話しかけるのは弘だし,俺はほとんど2人の会話を眺めているだけ。



「うん。3人で! 2人ともどうかな? 気まずかったら女の子の友達とか誘ってきても良いよ? 仲良く出来るように頑張る!」



愛深が語尾を強めて謎の宣言をした。

このメンツで何をどう気まずがれば良いのか。

俺は静かに首をかしげる。

俺の目線の先では愛深が期待のこもった視線を弘に送っていた。