もし、新谷くんの心に、泣いていた女の子に対して、少しでも、もやもやがあるなら。


それなら、わたしは……





「じゃーなー、あったかくして寝ろよ」



玄関の前、街灯の横。

すぐ上に照らしてくれる明かりがあるのに、鬱陶しそうな前髪で顔はよく見えない。


わたしよりも大きいはずの体が頼りなさそうにふらつきながら背を向ける。




「新谷くん」

「…ん?」


「雨よりは好きだよ、新谷くんのこと」









────なんとなく、そんなことが言いたくなった。




ただ、それだけ。