「そんなに好きなんだ、彼方のこと」
嬉しさを頬に浮かべていたら、腕の上に顎を乗っけている新谷くんのまつげが持ちあがる。
出た、無表情。
新谷くんは、時々、こういう顔をする。
「関係ないじゃん」
わたしが彼方くんを好きなことは、新谷くんには、どうでもいいことでしょ。
「関係、あると思うけど」
「……?」
「彼方とは付き合えないよ」
「っ、なにそれ」
「俺が邪魔するから」
「はあ?」
新谷くんの言ってること、ぜんぜん理解できない。
邪魔ってなに?
そんなことして、どうするの?
もしかして、あの日聞いた、彼方くんを好きだった子を横取りしたっていう噂はほんとなの?
考えようとするほど、ぐちゃぐちゃになる。
「いくら彼方くんの親友だからって」
「だから親友じゃねーよ」