「ポン、おいで」


指先をひょいっとして合図するけど、なにも反応はない。

やっぱり、懐かないか…。


わたしは諦めて芝の上に座る。

ちょうど木漏れ日が差し込むその場所は、結構、心地いい。

そう思いながら、ポンを眺める。





「…新谷くんとどうやって仲良くなったの?」



餌をくれてかな。

それとも、あの見た目からじゃ想像つかないけど、一緒に遊んでくれたとか?




「でも新谷くんって、たまに優しいことしてくるよね」




どうせなら、そういうのぜんぶ、知らないままがよかった。

そしたら、優しい顔にときめいたり、苦しんでる姿を放っておけなくなることも、こんな気持ちになることもなかったのに。


…後悔ばっかなんて、情けない。