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翌日。

バッタリ廊下で遭遇しても、目が合わないように身体ごと逸らされるんだから、相当わたしと話したくないんだろう。

こっちだけ気にしているのもいい気分じゃないから、わたしもできるだけ意識をほかに向けるように頑張ってる。


心配してくれた彼方くんが助け船を出そうとしてくれた時もあったけど、丁寧に断っておいた。

これ以上、新谷くんのいやそうな顔、見たくないし。




「…これでいい」


中庭の裏。

ここには誰もいないのに、誰にも聞こえないように小さく吐き出した声。

その声を仰ぐように視線が真ん中へいくと、わたしは、ひさしぶりの姿を見つけた。



「あれって…」


新谷くんに懐いてた猫。

芝の上の木の横で、ごろんっと横になっている。


気になったわたしはゆっくり近づいた。