学校に着くまで探ってくるサナちゃんの好奇心をなんとかかわしながら、やっと校門をくぐった。

そうしてひと息つくと、下駄箱のそばである2人が目に飛びこんでくる。

ひとりは彼方くん。
もうひとりは当然……新谷くんだ。




「………」


よし、もうちょっとしてから校舎に入ろう。
うん、そうしよう。




「あ、新谷くんじゃん、沙葉、いくよ」

「え」



わたしの心情なんてつゆ知らず。
サナちゃんがすごい速さで腕を引っ張る。

気づいた時には新谷くんの真ん前まで引きずられていた。


「はよ〜」

「お、おはよう」



…ぎこちない。
ぎこちなすぎるよ、わたし!

いつものテンション、いつもの……。


普段通りに!と言い聞かせて顔をあげると、飛び込んできた視界で、あることに驚いてしまった。



「……あ、新谷くん、その前髪…」

「あー、言われた通り、切ったけど、どう?」



目に被さるくらいだった前髪が、眉毛あたりで整えられていて、きちっと短くなっている。

クリアになった瞳も顔立ちも、信じられないくらい似合っていた。


……かっこいい…。


思わず凝視していると、意外と至近距離にあった新谷くんの顔がぼやけて見え、あわてて離れる。