「そんで、試合、頑張れよー」
「…っ、」
ぽんって、また頭に手を置かれる。
これで2回目。絶対慣れてる。
女の子に何回もこういうことしてきたはずだし。
もう片方のポケットに入ってるままの手だって気に入らない。
それなのに、優しく笑いかけてくる顔に脈打つ心臓が、まるで合図するように教えてくる。
『もっとさ、こう、ストンって落ちてくるものじゃないの?』
……サナちゃん、わかっちゃったよ。
最初の最悪な出会いからじゃ、絶対認めたくなかった、この気持ち。
応援しといていやるよ〜って、語尾ゆるめの声がからかうように呟く。
思わず顔を上げて合わさった瞳の微動が伝えた。
────わたし、新谷くんが好きなんだ。