「おはよー!沙葉ちゃん」



翌日、いつもより機嫌がいい彼方くんの声に安心した。


よかった、仲直りできたんだ…。

まあ、ちゃんと話すって言ってたし、心配なんてしてなかったけど。

そう思いながら、実は朝になるまで気にしていて、意味もないのにいつもより早く学校に来てしまったことは内緒だ。



「沙葉ちゃん、ありがとうー!昨日さ、優星がさ、はじめて俺に悪かったって言ってくれてさ!」

「ふふ、よかったね」

「うん!」


そんなに嬉しいのか、彼方くんの口角がこれでもかってくらい上がっていくから笑ってしまう。

と、その時、


「朝から元気だねぇ」


若干呆れ気味の新谷くんが教室に入ってきて、彼方くんからわたしへと視線を移した。


チラッとだけ見て、逸らして、またチラッと見る。

右往左往する瞳と一緒に指先も固くなる。


…やっぱり、最近のわたしは、理解不能だ。