胸の奥がズキズキ痛む。
今の話に同情したのか、それとももっとべつの感情なのか、それはわからないけれど。
新谷くんの言いたいこともわかったし、彼方くんと話すつもりなんてないってことも聞いた。
でも、どうしてもひとつだけ、納得できないことがある。
「…新谷くんの前髪がムカつく」
「は?」
俺の話聞いてた?と新谷くんが言う。
聞いてたよ。
……でも、彼方くんが勝手に懐いてきてうざかったとか、ひどいことをなんてことないように口に出すくせに、そういう時だけ、決まって少し下を向く。
すべては新谷くんの瞳にかぶさっている、普通よりもちょっと長めの前髪のせいだ。
後ろの髪も長いけれど、今はその前髪のせいで、表情が見えない。
いつも、ゆらゆら動いてて。
流されるまま、思われるまま。
まるで新谷くんみたいで……ムカつく。