制服を着崩し、髪を伸ばし、ゆらゆら流されて生きる、そういうやつになった。

意思なんてない、本心なんてわからない。


人から悪意しか向けられなかった俺は、寄ってくる女がたとえ容姿目当てでも、過去の自分と比べて束の間の優越感に浸ることができた。

だから、簡単に好きだと言ってくる女を見下しながらも流されるままに遊んだ。最低だと自覚している。結果、女にだらしくなくなり、勉強もサボり放題。


あの時尖った破片でつけられた傷は皮肉みたいに綺麗な痕になり、俺の脇腹に影を落としている。

今では血を見ただけで、吐き気がするというのに。



『優星くんの傷ってカッコいいよねー』

『わかるっ、強い男って惚れ惚れするわー』



喧嘩の勲章とでも思ってるのか、なにも知らずに噂が噂を呼んで強い男認定され、でもそんなものぜんぶ、否定も肯定もせずに生きてきた。