「…沙葉、どうしたの?」

「え?」

「さっきから、ぼけーっとして」


さすがにサナちゃんの鋭い目は気づいちゃったらしい。

わたしは苦笑いする。


「うーん、ちょっと雨男のことでね」

「雨男?」

「昨日、新谷くんと帰ってたらどしゃ降りになったの。だから、新谷くんは雨男なんだよ、きっと」

「うん、とりあえず、その雨男理論は意味わかんないから置いといて、昨日、新谷くんと一緒に帰ったの?」



うんと頷くと、目を見開くサナちゃん。


「いつのまに仲良くなったのよ」

「たまたまだよ、たまたま」


偶然、修羅場に遭遇して。

傘、壊れちゃって。

新谷くんもわたしもあのままあそこにいるわけにもいかなかったから、一緒に帰っただけ。

問題はそのあとだ。