ライは近くの椅子に座り、雑誌を読んでいる見張りに「なぁ」と声をかけた。

「この部屋臭くね？ああ、あんたの加齢臭か。臭すぎて鼻がもげそうだから外に出てってほしいんだけど」

そう挑発すれば、「ガキ！！自分の立場わかってんのか！？」と見張りは顔を真っ赤にしながら雑誌を乱暴に床に放り投げ、近付いてくる。

「おお、怖ッ！ていうかこんだけ近付かれたら、マジで吐きそう……。歳取ったらこんなに臭うのかよ。最悪だな」

「テメェ、俺はまだ二十五だぞ！！」

見張りは拳を振り上げ、ライを殴り付ける。ライはニヤリと笑い、「いってーな、おっさん！」と言いながら見張りの股間を容赦なく蹴り上げた。一瞬にして男は声にならない声を上げながら地面に倒れ込む。

ライは倒れた男の体を踏み台にし、フックにかけられた縄を外した。そして手首を拘束している縄は、男が置いていたナイフで切って外す。

「余裕余裕！」

ライが廊下を走っていると、途中でシリウスが現れ、殴られた頬の痛みに驚く。