見た目通り先輩達は優しくて丁寧に教えてくれた。

6月にある各学校合同のイベントを最後にウチの先輩達は引退し、受験に備えるらしく俺たち1年生は邪魔はしないようにしていた。

引退ライブは市内のホールを借りて行われた。

私立だが軽音部に学校から専用バスなんて出る訳もなく、各自の保護者が車を出して送ってくれた。

「ありがとうございました」

送ってくれた先輩の親へお礼を言い、会場へ向かって歩いてると広場があり、スケボーをしてる若者達がいた。

「あれ?上島じゃね?」

「ほんとだ」

「おい!上島ー!」

2、3人がこっち見てきた。

(うわ…)

あんまり良い知り合いじゃなかった。

「なんか名前呼んでるけど知り合い?」

「そっすね」

ずかずかとこっちに歩いてきて

「久しぶりだな!何してんだよ?」

スケボー片手に栗原がニヤニヤしながら話しかけてきた。

タバコをやめたのだろうか口には禁煙パイポを咥えていた。

「先行っててください」

みんなにそう言って対応した。

「今日は部活のイベントなんだ」

「え?お前部活やってんの?はは!まじウケる」

「お前こそスケボーとか、そうゆう遊びしてんの意外だわ」

「あ?知らねぇの俺って意外とスポーツマンなんだぜ!中学とかバスケやってたし!」

栗原はバスケのシュートのジェスチャーを話しに混ぜながら得意気に言ってきた。