試験を終え、帰宅するとチャイムが鳴った。

「はい」

「こんにちは」

玄関を開けて出ると同じ学校の男の子だった。

同じ学校と言ったが歳は一つ下っぽいけど誰かはわからなかった。

「あ、あの同じ学校の2年の田中真彦(たなかまさひこ)って言います!」

手には紙袋を持っていた。

「ごめん、知らないかも…」

「覚えてないかもしれないですが以前、他校の不良に絡まれてる所を助けていただきました!そのお礼をずっと言えなくて!だからそのお礼を今日兼ねてと思って参りました」

田中君は手に持ってる紙袋を俺にすっと渡してきた。

「え?俺に?ありがとう」

俺は素直に受け取った。

「うお!モー娘。のベストアルバムじゃん!とチョコ?あ、バレンタインだからか」

「はい!あの、好きとお聞きしてたので」

「ありがとう!買えずに居たから超嬉しいよ!チョコもうん。ありがとう」

「あ、あの彼女さんとかはいらっしゃいますか?その居なければ……その…」

ドギマギしてるように見えた。

(え?俺告られる?)

そう思って

「彼女…居るんだ」

本当は居ないけど身の危険を感じて咄嗟に嘘ついた。

「あ、そうでしたか」

「うん」

「それは残念でしたが仕方ない事です」

しょんぼりしてたので申し訳なく感じ

「あ、CDとチョコ返そうか?」

そう言った。

「いえ!それは差し上げますので!良かったら食べてください!喜ぶので」

「あああ、うん。ありがとう」

「それでは失礼します」

帰ろうと後ろを振り向く田中君を見て、貰うだけじゃダメだと思ってドアから出て

「あ!ちょっと待って」

呼び止めた。

「わざわざありがとう!こっちこそ心救われたよ。ちなみにお返し何がいい?」

「えっと、卒業式の日に一緒に写真撮ってもらいたいです!」

「わかった!それで良いの?」

「はい!」

彼の何を救ったかなんて自分には覚えてなかったけど、仕返しは今まで来た事あったが、お返しが来たのは初めてで俺には本当に嬉しかった。