「これぐらいで済んで良かったな」

そう言う井上先生に

「いやいや、朝早く来ないといけないし、つか頭まだクソ痛いし良くないよ!」

突っ込んだ。

「まあでもお母さんにこれ以上心配させたらダメだぞ」

頭をぐしゃぐしゃとされた。

「やめて!まだ痛いから!」

井上先生は自分も片親で育って来た為なのか俺の事を凄い気にかけてくれてた。

濱谷先生も怒鳴るしすぐ手が出るし怖いなと思うが情熱を注いでくれて俺の事を考えてくれてるのがわかってるので嫌いじゃなかった。

その日の放課後掃除をしてると栗原達の姿が目に入った。

「よう」

そう言いながらニヤニヤする栗原に。

「昨日の前田って奴はお前の知り合いか?」

「いや?知らねえよあんな雑魚」

否定したがその喋り口調から確実に知り合いだと直感した。

「まあ掃除頑張れや」

「あ?待てよ。真面目君を的にするようなダセェ真似すんじゃねぇよ」

俺の言葉に栗原はにやけ顔で無視して帰って行った。

2週間に及ぶ掃除当番が終わった頃

「ウチのカバンってそんなに売れるのかな?」

健太が聞いてきた。

「さあ?相場は知らないけど本物のブランドカバンと比べて安いでしょ」

俺は興味無さげに答えた。

「栗原っていつ見ても金あるように見えるから何かやってんのかな?」

「バイトはやってないだろうから盗みとかやってんじゃない?」

「そっかぁ」

「金が欲しくてもアイツらの真似はやんない方がいいよ」

栗原はツレにタバコやご飯をおごったりと周りにも羽振りが良かった。