ライブまで何回か合わせた。

「よっしゃ!行けるね!」

「良い仕上がりになったわ!」

ライブの時間は30分。

曲数も文化祭と比べてかなり増えて8曲やる事になった。

それでもやっぱり楽器の経験値のあるメンバーなので練習も特に困る事なくスムーズに進んだ。

「亜依子はライブとかやりたいとかはないの?」

「うーん、縁があったらかな。興味はあるけどきっかけがないし」

この日は買い物デートをしていた。

雑貨や服を色々見て周り休憩にカフェに寄った。

「じゃあ僕が頼んだら?代わりに歌ってって?」

「えー…どうしてもって言われたらやるけど」

「じゃあもし、僕が歌えなくなったら…」

そう言うと亜依子はとても悲しそうな顔をした。

「……ごめん」

縁起でもない事を口にしてしまった。

けどこれからいつまた起こるかわからないことは事実。

僕の失言に不機嫌と言うか亜依子の表情は物凄く暗い。

少しでも機嫌が直ればと思い普段感じる事を言ってみた。

「亜依子の声凄い好き」

「え?こんな声が?」

「ハスキーで凄い色っぽくてセクシーに聞こえる」

僕の言葉に

『私の機嫌が悪いから機嫌を直す為だけに無理して言ってるんでしょ?』

感の疑いの目が僕を突き刺してきた。

「いやほんとに!ほんとに!嘘じゃないから!特に歌声がほんと好き!先日スタジオで歌ってバンドメンバーのみんなもそう言ってたし!」

それでも止まらない疑いの目

思わず苦笑いをしてしまう。

「あ、そういえばさ…聞いて欲しい話しがあるんだ…」

「良い話し?悪い話し?」

「うーん、あまり良くはないかな」

「じゃあ、今日は聞かない。今度聞かせて」

「わかった」