12月に入り受験の追い込みが進む中、気分転換に付き合ってとイルミネーションを見に行こうと亜依子ちゃんが誘ってきた。

まだ度胸が決まってなかったがカレンダーで日付けを見て、もうすぐ亜依子ちゃんの誕生日だと気付き

「良いよ」

覚悟を決めて待ち合わせ場所に出かけた。

二人歩いてると亜依子ちゃんが恋バナをしてきた。

「ねえねえ、拓郎君はデートってした事あるの?」

僕はしどろもどろになり

「え、な、ないよ。あ、でもデートとは呼べるかわからないけど出かけた事ならあるよ」

そう言うと興味津々に亜依子が聞いてきた。

「へぇ?いつ?どんな人と?」

「えっと、小学6年生の時に初恋の人と」

「え、初恋の人!?凄いね一緒の学校の人?」

「学校は違うけど塾が一緒だった子」

「そうなんだー!私も初めてデートしたのは初恋の人で一緒の合唱団に入ってた人で映画を見にいったの」

「へぇ、良いねー、どんな映画?」

「ジブリ!小学生らしくて可愛いでしょ?」

「うん、そうだね」

二人、昔の話しを色々した。

イルミネーションを二人で見てく中で

「ねぇ、私に何か言う事ない?」

亜依子ちゃんが僕に言ってきた。

ドクン

自分の鼓動が聞こえた。

勇気を出して告白する事を決めてたけどいざ告白するとなると緊張する

ゴクリ

と自分の飲み込んだ唾が亜依子ちゃんに聞こえたんじゃないかと不安になった。

けれど勇気を出して少し照れながら空を見上げ

「え、ああ、つ、月が綺麗ですね」

しどろもどろに言った。

言った。

ついに言った。

亜依子ちゃんは少し驚いた表情をしながら

「イルミネーション見てるのに月が綺麗なの?」

笑いながら言った。

亜依子ちゃんは一度空を見上げた後、そのまま数秒間月を探していた。

「ほんとだ、月綺麗ね……」

それまで見上げてた顔はゆっくり僕の方を向き

「死んでもいいわ」

と、言った。

亜依子ちゃんのその顔は照れてるのか嬉しそうなのか真っ赤になっていた。

僕はその表情に飛び跳ねそうになる心臓を抑え再び確認した。

「それって、僕と付き合ってくれるの?」

「はい」

初めて彼女が出来た。

あまりの嬉しさから僕は死んでも良いと思ってしまった。