「なんか楽器出来る?」

「いやいや楽器なんて出来ないよ」

「じゃあボーカルで決定ね」

「え?やるってどうやって?誰と?どんな?なんで?」

何を質問して良いかわからないほど疑問が尽きない。

「やるのは俺達!いや僕達と!文化祭で!どんな曲にするかはこれから決めよう!」

そう言って剛と大友君が手を上げた。

「え?すでに決定なの?」

「一度はやってみたいんだろ?ライブ?」

まるで僕の心を見透かしてるように言った。

「確かに一度はライブハウスで歌を歌ってみたいとは考えた事あるけどなんで?」

「僕、今、駅前の塾に通ってるんだけど、その塾でクラス一緒なんだよ。森田大輔と!」

剛がほくそ笑んで言った。

「え?!そうなの?!」

僕は二人が繋がってる事に驚いた。

「全校生徒の前でライブするのは誰しもが一度は夢を見る事じゃないか!」

大友君も大きな声で言った。

「でも僕、上手に歌えないよ?」

「大丈夫!ハモったりバックアップするから!」

と二人は笑顔で言ってくれた。

(ああ、知ってるんだ)

僕は意を決して

「わかった、色々迷惑掛けるかもしれないけどよろしくです!」

深々と頭を下げてお願いした。

「よし、ギターは僕でベースは和寿で、問題はドラムだな…誰か出来たっけ?」

剛が首をかしげながら言った。