第1走者は三宅さん。

さっき大友君から受け取ったバトンでバランスを崩した恨みから私から渡させろと、第1走者に名乗り出て第2走者に大友君を指名した。

「バチコン言わしたる」

そう吠えながらバトンをブンブン振っていた。

その姿に苦笑いするガタイの大きな大友君。

そんな大友君の凄い勢いのバトンを受け取れるのは陸上部の吉田さんが上手く受け取れるだろうと第3走者に。

抜かされてもまだ挽回出来るかもと言う事で僕は第4走者に指名された。

第5走者に大橋さん

アンカーの第6走者に剛となった。

偶数と奇数で並ぶ位置に分かれスタンバイした所までは覚えてるけど正直ここら辺から記憶があまり残ってない。

第1走者の三宅さんから第2走者の大友君。

第2走者の大友君から第3走者の吉田さんへ。

順位も何位で来たかもわからないぐらい頭が真っ白で、ただ必死に走ってきた吉田さんの

「はいっ!」

って声を聞こえてバトン受け取り僕は走り出した。

(あれ?)

さっきまで聞こえてた歓声があったのに周囲の音が無くなった。

自分の心臓の音、自分の走る足音すら聞こえない。

(怖い、怖い、怖い)

無音の恐怖が僕を襲う。

コーナーを曲がる時、僕の後ろを走って来た人が抜かしに来てドンっと体にぶつかった。

「こけろ!」

僕は抜かされよろけるもなんとか転けずに耐えながら最後の直線に入り

「おーい!おーい!」

手を上げてここだよと必死にアピールしてくれる大橋さんの姿が目に入った瞬間、僕の目に写る世界がぐらりと揺れ、必死に耐えようとするも

バタンッ!

とコケてしまった。

そして

(やばい…立ち上がらなくちゃ)

立ち上がろうとしたけど再び倒れて気を失ってしまった。