「わかった。ただ今回だけにして。1番とアンカーはプレッシャーが」

その言葉にみんなわかったと言ってくれた。

「つか、今回だけわって事は決勝に残る自信あるんだな、いいねー」

剛が盛り立てる。

「あ、え、そんな…」

そんなつもりで言ったわけではなかったと言いそうになったがここで否定するは士気が下がると思い口を閉ざした。

するとそんな僕を見た大友君が僕を見てニヤリと微笑み盛り上げる為に

「出る前に負ける事考える奴がいるかよ!バカヤロー!って言いたかったんだよな?」

猪木の名言を叫んだ。

僕はびっくりするも頷いた。

「もちろんそりゃそうだ!」

「しゃあ!絶対勝つぞ!」

「もえてきたー!」

その言葉に剛を含めてみんなの顔に闘魂が入ったように見えた。

「よっしゃいくぞー!1、2、3だー!」

体育祭のメインイベントのリレー。

午前中最後のイベントだ。

「頑張れー!」

各クラス、リレーに出るメンバーに大きな声援が飛ぶ

「第一走者松本君じゃん。大丈夫かな?」

「頑張れー!拓郎君!」

第一走者の1番のカラーゼッケンを着てバトンを持つ僕にA組からの声が聞こえる。

僕に届いてるであろう声に全然余裕ないけど手を振って応えた。

足がガクガク震える。

スタート位置について必死に震えを抑えようと屈伸したり、太ももをトントンと叩いてみたが治らない。

「たくろー!」

アンカーで走る剛から声が聞こえたので向いたら猪木の顔で

「しゃーんにゃろー」

と、やっていた。

遠くから

「拓郎もやってやって」

と、ジェスチャー付きの指示が届いたので全力でやった。

「しゃーんにゃろー!やってやんよ!」