(父親みたいに正論ぶっ放しやがって)

あと、最後の『姉ちゃんなら大丈夫だから』の一言で私をディスった事が無しになると思うなよと思った。

まずはコピーする歌としっかり向き合って。

歌詞を文字起こしして意味を理解して…

向き合って向き合って向き合って

「歌や演奏は上手いんだけど上手いだけなんだよね。わかる?上手いだけだとカラオケなんだよ」

一度ライブハウスに居て演奏を聞いてもらった自称、大手会社のスカウトマン(狸ジジイ)からの感想をいただいた。

「俺達はただ単に上手い人、曲が良い人を求めてるわけじゃない。そんな人はこの世にごまんと居る。ビジネスでやる以上集客力や売れる人を求めてるんだ」

そう言うおじさんは 

「じゃあ頑張って。後、本気でやる気なら今度ウチの会社に顔出しにおいで鍛えてあげるから」

手を振って帰って行った。

私達はペコリと深く一礼した。

しかし心の奥底で叫んでいた。

(やかましいんだよ、このクソ狸!レッスン代取るだけでデビューさせない悪徳会社に誰が行くか!)

ギリギリギリギリギリギリ歯軋りで怒りを誤魔化した。

それからさらに1年が過ぎた。