退院後に彼にメールも電話するが返事来ず。

(はああああん!言葉失ってメンタルやられてるってか!しゃあねぇ!直接行くか!)

意を決して彼の家へと行って、お母さんに家にあげてもらったら開口1番

「別れよ」

開始早々強烈なパンチをお見舞いされた気分になった。

散々無視されてからの開口1番なので大抵の人ならワンパンチK.Oだ。

だが私の屈強なメンタル舐めんなよと応戦する。

「やだ」

「僕とじゃダメだから別れよ?」

「やだ!私はこの先ずっと君と過ごすの!」

「なんで…わかってよ…」

拓郎は頭を抱えて困っていた。

(ほんと失った文字を使わずに器用に別れ話しだすよね。それならいっそのこと【わかれ】の文字を失ったら一生別れれないから次はそれにしてくれ)

そんな風に思ってはいけない事を思ってしまった。

(ダメだここで受け入れたら終わってしまう、ファイティン!)

「だけど」

「しかし」

「よく考えてみて?」

「ほら彼氏さん私とだとこんな特典が」

「さて次に耳にしていただくのはこちら!」

必死の粘りを見せとりあえず私の事は嫌いじゃないようなので保留まで持って行ってその日は帰った。

しゃー!みたかオラー!私を舐めんなー!

後日、再び松本家に訪れ拓郎の部屋に入った。

特にこれと言って会話はしないけど音楽を流しその音楽に合わせて一緒に軽く歌を歌ったり一緒の空間に居た。

「これ、見ても良い?」

バンドで作詞をするにあたり何枚か書いてあったのだろう作詞と書かれたファイルが置いてあった。

ファイルをヒラヒラさせて見るよアピールして見始めた。

【まおを】を失ってから書いてたであろう歌詞から文字が幼い頃からのも。

「昔から書いてたんだ…」

きっと文字の練習にただ文字を書くのではなくて楽しく書く為にやったんだろうなと思った。小学校からの作文も大切に取ってあるようだった。

「良いじゃん良いじゃん!素敵よコレ!」

拓郎は少し恥ずかしそうに照れていた。

「これ貸して?」

「え?なんで?」

「代わりにこれ貸すから」

そう言って拓郎本人は特に興味の無い私のサングラスを置いて帰り、家でじっくりと読んだ。