つ、月が綺麗だと!?

「イルミネーションを見てるのに!?」

私は思わず口に出して笑ってしまった。

そしてふと空を見上げたら月なんて出てなかった。

月を探すも見当たらない事から遅れて夏目漱石が頭をよぎった。

英語教師をしていた頃の夏目漱石が『I love you』を『我君を愛す』と翻訳した教え子を見て

「日本人はそんなことは言わない。月が綺麗ですねとでも訳しておけ」

そう言ったという逸話がある。

(え、やば、嬉しい!)

私は凄い頭をフル回転させ二葉亭四迷が『あなたのものよ』と言う意味を持つロシア語を和訳したと言う言葉でクールに返した。

「死んでもいいわ」

クールに返した。

クールに返した。

クールに返したはずだが顔は真っ赤で顔は爆裂に綻んでたと思う。

「それって僕と付き合ってくれるの?」

「はい!!!」

私は飛び跳ねそうになるぐらい足をバタバタさせ喜び、涙を流した。

涙を流し喜ぶ私に拓郎君は慌ててどうしたら良いかわからないようなので私から彼の胸の中に飛び込んだ。

それでも全然抱きしめてくれる様子もないので彼の顔を見て言った。

「たいていの男はいくじなしねいざとなると」

そう言って彼の唇へ背伸びをしてキスを届けた。

こうして拓郎が彼氏になった事を麻央に報告した。

「えー!おめでとう!良かったねー!誕生日に彼氏出来るとかやばー!」

「ありがとう、夏目漱石の逸話とされてる告白はやば過ぎて卒倒するかと思ったわ。最高の誕生日だわ。でも喜んで泣いてる私に何もしてくれないから胸に飛び込んで逆に夏目漱石の言葉を放ってキスしてやったわ!」

「あれだけ無理って恥ずかしがってたのに告白された途端、めちゃくちゃ積極的じゃん!」

女心がよくわからんわと二人笑った。