ブォン!

ブォン!

ブォォォォォォォォォォォ!!!!!

「うぇぇぇぇぇ!!」 

駐車場を出て国道を走る時一気に加速して車が走り出した。

感じるGに思わず浮かぶ足!

体が座席に押しつけられるような感覚。

これジェットコースターみたいや!

お股がヒュンヒュンして気持ち悪い!

ふと、運転席の修平君を見ると物凄い姿勢の良い、気をつけの状態で左手はカシャカシャとギアをチェンジしまくってる。

運転手って言うかパイロットと思った。

ここはサーキットかい?それとも峠を攻めてるのかい?

さっき食べたアヒージョやラスクが胃袋でシェイクして喉元までこんにちわした。最高に気持ち悪い。

「ここで良かった?」

「う…うん」

私が指定した近所のコンビニに着いた時はすでに満身創痍だった。

(あー気持ち悪い、久々に車に酔ったわ)

さっきまで少しだけ良い雰囲気だったのに一気にぶち壊された気分になった。

「あのさ…良かったら付き合ってくれない?」

「あぁ…え?」

まさかのタイミングでの告白に気分がついていかない。

「駄目かな?」

「まだ2回しか会ってないのでもう少し…考えさせてもらっても良いですか?」

「うん、わかった」

私は答えが決まって居たがこの日は答えを出さずに終えた。

「なんで!?修平君良い人じゃん!」

「そうなんだけどねぇ…」

私は麻央に詳細を聞かせろと言われてたので電話で話しをしていた。

「何が引っかかるの?」

「うーん。私なんかで良いのかなって」

「なんだそりゃ!」

「でもまあ、次会ったら付き合うように答えを出すよ」

私は苦笑いしながら答えた。そんな私に麻央は食い入るように聞いてきた。

「そう言えば先日の雨の日の男の子は誰かわかったの?」

そうあの日、

「きっと月も綺麗ですよ」

そう言われフリーズした私に男性は傘を差し出して

「ああああ、あのその流れで言っただけであってふ、ふ、深い意味などはないのでっ!はいっこれっ!」

私に傘を握らせた。

「さしあげるのでっ!返さなくて良いので」

私が言葉を発する前に男性は雨の中走って帰って行った。

「あまりの驚きにまともに顔見てなかったんだよね」

「なんか特徴なかったの?」

「うーん。特に見た目に特徴はなかったんだけど、走り去る後ろ姿を見て、あえて言うとしたら…」

「あえて言うならば?」

「なんか走り方が変だった」

「なにそれ!他に特徴なかったんかい!」

手を叩き麻央は爆笑した。

結局、私はそれが誰かわからないままだった。