それに父も母も親ではあるが一人の男性、女性なのでお付き合いもするだろうし再婚ももしかしたらするかもしれないとは思っていた。

そんな話しを聞かされたとしても多分平気なんだろうなと思ってただけに父から言われても大して気にもとめなかった。

しかし、その言葉は聞き初めは平気だったのに徐々に私の身体を侵食し毒に侵されるような感じになり心にモヤモヤが生まれていった。

小学6年生、母の元に復縁をお願いしに行った私。

塾の帰り、全てが嫌になって自暴自棄になりそうになってた私。

当時の辛く苦しんでた私が脳裏に蘇った。

父はなぜ今お付き合いしてる女性と同じように当時、母に愛情を注いであげれなかったのか?

父はなぜ私や弟との生活が上手くいくようもっと努力してくれなかったのか?

楽しそうに会話する父と弟の横で私は気がつくと歩きながら涙を流してた。

(おかしい、父が幸せになろうがどうなろうが私にはもう関係ないはずなのに…)

平然を保とうとすればするほど私のなんとも言えない感情は決壊し涙がとめどなく溢れてきた。

「ちょっとトイレに行ってくる」

私は父と弟にそうつげると足速にその場を離れてトイレに駆け込んだ。

洗面所で自分の泣いた顔を見て

不意に母が言ってた父の嫌いな所の話しが脳裏をよぎった。

「あの人デリカシーないから」

まさにその通りだなと思った。

(もう大丈夫かな)

最後に思い切り鼻水を

チーン!!

して外に出た。

「ふぅ…ふぅ…」

大きく吸い込んだ空気は冷たく乾き、さっきまでモヤモヤした気持ち悪い空気を新鮮な空気で入れ替えるように何度も深呼吸を繰り返した。