しかし中学に入ると思春期からなのか親に反発するような話をよく耳にするようになり悪い先輩と付き合うようになっていた。

「え?お前あんなダサい奴がツレなの?」

僕を茶化す先輩に

「んなわけあるじゃないですか!ただの同じクラスメイトっすよ!」

と、いつしか疎遠になり呼び方も拓郎から

「松本ー!松本ー!」

苗字になり

「てめぇ、俺が呼んでるのに無視してんじゃねーよ」

叩かれたりするようになった。

けれど今、亡くなった前田の顔を思い浮かべてみると僕に対して敵意を抱いてた顔よりも

「おい!こっちに来てみろよ!これ面白いだろ!な!」

時折り見せてた笑顔の方が思い出されて

「うぅ…うぅ…うぅ…ぐすっ」

涙が今になって溢れ出した。

そんな僕の姿に少し気まずそうにした野村と岡田は

「またな」

そう言って手を上げて帰って行った。

ちなみにそんな野村と岡田は高校卒業後はお笑い芸人になろうとお笑い養成学校にいったらしい。

二人共自分は面白いと思ってたみたいで自信満々に周囲に絶対売れるからと言っていた。

二人はお笑いの養成学校を卒業したものの特に売れず飛ばずで一度もテレビやネットに出る事もなく数年後には解散した。

今は二人何をしてるのかは知らない。