ガラガラと教室の扉を開け授業中だった為、みんなの視線が一気に集まった。

僕はペコリと頭を下げ自分の席に座った。

授業を行っている先生は軽く頷くだけだった。

「なんだよ?」

特に顔も合わせてなかったが前田から声が届いた。

顔を見合わせたが特に返事もせずに教科書を開いて授業を受ける僕に軽く舌打ちをして前田も授業に顔を向けた。

それから卒業までは特にお互い絡む事もなく特に会話もする事なく終わった。

そして前田との会話とも言えないやりとりが最後になった。

高校2年の夏の終わりに前田が亡くなった事を大輔から聞いた。

バイク事故だったらしい。

前田は高校には進学したものの1年も経たずに辞めて、特に何をするわけもなくダラダラと遊ぶ毎日を過ごし、

気がついたらそう言う仲間が集まるチームに入り、

同じチームの人が運転するバイクの後ろに乗り、

転倒した際に道路に投げ出されたらしい。

運転手も前田もノーヘルだった為、頭を強く打ち二人亡くなったが単独事故で巻き込まれた被害者が居なかったのが不幸中の幸いだと思った。

前田の葬儀には同じ中学校から数人参加があった程度で岡田と野村も参加をしてたが特に涙を見せる事はなくむしろヘラヘラしてた。