私は話す事でそれまで溜まってた毒が吐き出されるような感覚になり楽になってく気がした。

ドス黒い自分の負の感情が吐き出す事で少しだけ浄化されてく気がした。

男の子は小学6年生で翔君みたいに女子の扱いになんて慣れてないし、きっとハンカチなんて持ってないから私が泣いても涙を拭かす事も上手い言葉を言って慰めるなんて到底出来る訳なんてない。

それでも隣に座ってただ黙って私の面白くない話を私の顔を見ながら相槌してくれながら聞いてくれるのは優しく温かかった。

「西村さん、じいちゃん来るまで温かい飲み物飲もう」

男の子は私を自動販売機まで連れてってくれてご馳走してくれると言った。

男の子が先に立ち上がり歩を進めた途端

ヒューっと冷気が私の身体を通過した。

「さむっっっ!……あ」

寒さを感じた途端、彼が今まで私の風避けとなっていたんだなと気付きその優しさに余計に泣けてきた。

「どれが良い?」

「私、緑茶が良い、ありがとう」

冷えた体に温かいお茶がじんわり染み渡る。

(なんなん電車で助けてくれたり風避けしてくれたり温かい飲み物ご馳走様してくれたり、この子優しさMAXやん!バファリンでさえ優しさ半分なのにこの子優しさMAXやん!そして、緑茶うめぇ!五臓六腑に染みるねぇい!うまかー!)

叫びたい気持ちを私はグッと堪えた。

後、危うく恩人に『バファリン君』ってあだ名付けそうな自分が居た。

「あ、来たみたい」

車の音に男の子は足速に歩き出した。

「こっちこっち」

男の子の手招きする方に一礼しながら歩いた。

「たく君!突然の電話びっくりしたよ、寒かったろう?」

驚いた表情をしながらも笑いながら言うおじいさんは

「寒いから早く乗りな」

そう言って乗車させてくれた。