当時は弟をうざいとしか思ってなかったが、家族曰く私は

「ちっちゃい頃から喜怒哀楽の感情表現が抜けている」

らしい。

例えば好きなキャラクターショーを見に行ったとして、弟の真は笑顔で凄い楽しそうに表情豊かに時には動いたりして見るようだが、私は終始無言で真顔で見てるらしい。

ちなみにそれでも私は超楽しんでるし、なんなら笑ってると思ってる。

ちゃんと私は

喜↑怒↓哀↓楽↑

と自分ではしてるつもりだが周りから見ると

喜→怒→哀→楽→

「なにそれ私マシーンみたいじゃん」

自分はそんな風に周りから映っていたんだとショックを受けると弟はさらにレベルを上げてきた。

「もっと悪く言うとサイコパスよね」

「マシーンよりなぜもっと悪く言う?」

なので感情表現が欠落してる私を5年生の弟はどうにか笑わせたいと躍起になっていたようだ。

両親はそんな私の事が心配になったのか小学生に上がってから様々な習い事をさせてくれた。

「やるからには最後までやり遂げなさい。なぜかわかるか?なぜかと言うと…」

理屈っぽく話す父の言葉はよく聞こえなかったが私は目につく興味のある物は片っ端からやってみた。

バレエ
バレーボール
スイミング
習字
空手

バレエは同じ小学校の田中明菜の付き添いと言う形でバレエ教室に通い始めた。

「白鳥の湖踊ってみたい」

「くるみ割り人形のくるみを割るって表現が私を刺激するわ」

どっちかが明菜でどっちかが私。

しかしやってみるとくるみを割るどころか足先の爪が割れた。

他にもバレーボールやってみると、フライングレシーブは体を擦りむけそうで怖くて最後まで上手に出来なかった。

スイミングは顔を付けるレッスンからスタートしたがバタフライまでマスターした。

習字は字が綺麗になった。

空手は貫手を覚えた。

しかし本気度が足りないのかバタフライと貫手以外はあまり身にならなかった。