よっしゃ!メロンパンチャーンスGET!

ようやく話しをする事が出来た。

彼に少しでも楽しい上島剛の名前を刷り込み将来

「上島剛君は良い人でした」

そう言ってもらえるよう名前を売っとこうと思った。

中学は喧嘩で名前を売った分、俺は高校では良い事をして名前を売ろうと必死だった。

いざ話してみると意外と拓郎の話しが面白くて俺が楽しんでるようになった。

しかしどうしても会話の中で違和感があった。

(なんか【ま】が喋れない?)

クラスメイトにどことなく拓郎の病気を聞いてみたけどわからない様子だった。

先生に迷惑かけないから教えて欲しいと頼むが教えてくれない。

試しにふっかけてみた。

「なんで拓郎が【ま】が喋れないか知りたいんだよ」

「わかってたのか……」

先生が周りに言わない約束で教えてくれた。

その違和感は確信へと変わった。

初めは意味がわからなかったけど、理解するととても辛い気持ちと怖い不安な気持ちになった。

少しでも気持ちに寄り添って仲良くしたい俺はその日から拓郎と会話する時は【ま】を使う事をやめた。

(言語に関する病気なら体育祭でリレーで走っても大丈夫だよな)

そう思ってリレーを一緒に走る事にした。

運動が苦手な拓郎が一生懸命に走る姿は

「萌えるね」

大橋さんと共感した。

「手!拓郎君の手の振り方が可愛い!これ見ながら白米食えるわ」

「それはちょっとわからない」

わからないと言い放った俺を見る大橋さんの目は物凄く冷たく殺気を感じた。

「ちっ!これだからチャラ男は」

俺も先輩や友達を可愛いと思う変態ではあるけど、大橋さんの拓郎への変態度は俺よりも一つも二つもレベルが上だと思った。

リレーは正直もの凄いプレッシャーだった。

楽しければ良いと言ったが少しでも良い思い出にしたいからどうしても勝ちたかった。

だから予選突破出来た時は本当に嬉しかった。

午後からの演舞の本番は特攻服だったので凄いワクワクした。

「ようヤンキー!」

翼と中学時代の同級生数人が見に来てくれてた。