翌日から

『上島君を守る会』

が先輩達で結成され

「今日は僕の番だから」

ローテーションで寮に送り帰ってくれた。

そんな先輩達がめっちゃ可愛かった。

そして停学明けから2週間後の放課後、校門を出て先輩と歩いてると一台のバイク音がした。

明らかに品が悪い音。直管マフラーのクソうるさい音。

「なあ!」

健太だった。

立ち止まり一瞬考え

「なんだよ?健太」

そう答えると前と違いオラついてる感はないように見えた。

「本当に来たどうしよう」

俺達のやり取りに先輩はオロオロしてた。

「ちょっといいか?話しだけだから」

そう言う健太の手には缶コーヒーが2本。

「先輩、大丈夫なんで帰ってください話しするだけなんで」

「本当に?」

「はい、心配しなくても喧嘩はしないんで」

その後俺は健太と二人になり河原へ移動し腰を下ろした。

「ほら」

そう言って缶コーヒーを受け取り飲んだ。

健太はスッとタバコを出した。

「吸うか?」

「要らない」

「タバコ…」

「ん?」

「銘柄セブンスターに変えたんだな…」

「あ、ああ、なんとなくな…」

それから二人これまでの事をポツリポツリと静かに話した。

「この前は悪かったな、殴ったのもだけど親の事あんな風に言って」

あの日俺と会ったのは本当はたまたまだった事。

親が亡くなって一人になったのに前を向いてる俺に対して少年院を出ても更生せずどんどん落ちぶれてる自分を比べてどうしようもない憤りを感じ、心にもない八つ当たりのような事をしてしまった事。

「安心しろよ、もう会う事ないから」

帰り際、健太は寂しそうに俺にそう言った。

「なぁ、またみんなで年末にカウントダウンでも…」

「俺さ、夏が終わったらガキ卒業して小さい頃からお世話になってる先輩の所に行くんだ。こんなどうしようもない俺にも必要としてくれる先輩が居てさ」

「岩倉君の所か?行くなよ」

岩倉君はヤクザになっていた。

「もう決まってるから。まあ最後にもうちょいガキ遊びするけどな」

そう言ってバイクに跨り

「最後にお前に会えて良かったわ。お前はこっちに来るなよ。将来活躍期待しとくで、じゃあな」

そう言ってバイクで走り去った。

これが健太との最後となった。