ねぇ待ってそれ聞いてないっ!




「―――その人はモテる?」

「モテる!」


コウくんからの変化球のある質問に心の中で驚きつつも、私は即答してみせた。


だって、百人に聞いたら全員が同じ答えの自信があるんだもん。


コウくんは常に人嫌いですオーラを放っているにも関わらず、私がいないところでぽんぽん告白されてるし。


彼氏がいる女の子も、旦那さんがいる先生も。


コウくんとお近づきになりたくて寄ってくる。


一番近くにいる私への被害は挙げてもきりがないくらいで……軽く公害だよ。


今日は学年一可愛いと言われる女の子に公開告白をされていたことですし。


それをやる方も相当な自信が……コホン、勇気があって凄いと思う。


私はその頃、美男美女カップルが誕生するのを恐れて建物の陰でもそもそと一人寂しくお弁当を食べていたんだけど。


教室に戻ると友達が慌てながら教えてくれたんだ。


コウくんが一度振ってもめげずにしがみついた女子に向かって『好きな人がいるから付き合えない』ととどめを刺したということを。