「必死だね」
「必死だよ」
「どんな人かだけなら教えてあげてもいい」
「ほんとに!?撤回とかなしだからね!!」
これは明日、大雨や雪どころか隕石でも降ってくるじゃないかってくらい珍しい。
私のお願いなんて最初は必ず首を横に振って、私がしつこく張り付いてもその場では叶えてくれないのに。
あとでしれっと叶えてくれるのが7割、忘れた頃に思い出させてくれるのが2割、無視が1割なのに。
一体、どういう風の吹き回しなんだろう……?
あとでお金でも請求されるんだろうか……?
じっと下からコウくんを見つめるけど、色素の薄い瞳からはなにも読み取れない。
ちょっとだけ上がった口角から機嫌が直っていることと、私との会話を楽しんでいることだけはわかる。
それが嬉しくて、私の心はふわふわと浮き上がる。
今ならちょっと鬱陶しいパパとも優しく心穏やかに話せちゃうかも。



