【短編】猫が運んだ淡い初恋


「うわぁー、恥ずかしい。俺、そんなに顔に出てた?」

「出てた。でも相手にはバレてないと思うよ。猫の話してたから」

「そう?」



才木さんが言うには、猫達の話題で上手くカモフラージュされたっぽい。

ありがとうトラ吉、トラ美ちゃん。あとベルちゃんも。



「泣くなら、背中貸そうか?」

「泣かないよ。それじゃ才木さんが潰れちゃう」

「……それ、私が小さいって言いたいの?」

「だって三十センチくらい違うじゃん」

「いやいや、私これでも高校に入って二センチ伸びたんだよ?」

「俺も二センチ伸びたんだけど……」

「……」



黙り込んでしまった才木さん。

上目遣いで見つめる彼女の瞳には、恨めしいの文字が映っている。


……これはタブー要素に触れてしまったかもしれない。



「ごめんっ。本当に大丈夫だから。ありがとね」

「っもう! あとでジュース奢ってよね。そしたら許す」

「はーい。了解」



得意気に言い切った顔にフッと笑みが漏れて、ぽっかり空いた心が満たされたような気がした。