【短編】猫が運んだ淡い初恋


二人共はしゃいでで見えにくかったけど、それぞれの左手の薬指に、金色の指輪がはめられている。



「いや……! これはペアリング! ね!」

「う、うんっ! 確かに同じ名字ですけど、俺は別のイチノセなんですよ」



尋ねた途端に、二人揃って顔が赤くなった。

漢字では一ノ瀬と書くんだそう。


結婚って言っただけでここまで照れるなんて。
大人っぽいなって思ってたけど、案外ピュアな人みたい。



「あとでベルとトラ吉の写真送るね!」

「いいなー。俺にもちょうだいよ」

「この前あげたじゃん」


「あの……他のトラ猫達の写真あるんで、良かったら送りましょうか?」


「え! いいんですか⁉ なら直接……」

「ちょっと! ごめんね、彼、無類の猫好きなの」



スマホを出そうとする彼を止める市瀬さん。

わかってますよ。さっきの自己紹介でなんとなく感じましたから。



「って、いつの間に長話してたね。そろそろ行くね」

「いえいえ。楽しかったです。あとでたくさん写真送りますね」

「お願いします!」

「もう、零士君ってば!」