【短編】猫が運んだ淡い初恋


「えっ! ほ、本当ですか⁉」


「あぁ。元から猫は飼いたいと思っていて、今回の保護猫の話を聞いて、改めて家族と相談し合ったんだ。

まだ仕事が忙しいからすぐにとは言えないが、放課後にもう一度詳しく話を聞かせてくれないか?」


「はい! もちろんです!」



無風の部屋にパァッと光が射し込んだ。


先生の家は、奥さんと小学生の子ども二人と、先生のご両親の六人家族で、全員が猫好き。

学校がある平日は、奥さんと先生のご両親が家にいるとのこと。


良かった。これだけ人がいるなら寂しい思いはしなくて済みそうだ。



◇◇



「それじゃあ、タマとマルのお世話、頼むね」

「遊びすぎないでちゃんと勉強するのよ?」


「はーい」



日は流れて、夏休み五日目。

玄関でマルと一緒に両親を見送った。


今日は待ちに待った、高倉先生と猫ちゃん達の対面の日なのだ。

猫を預かっているのは市瀬さん達だけど、保護に関わったので同行することにしたらしい。