【短編】猫が運んだ淡い初恋


少し俯いた母の顔を見て、うちでは難しいんだなと察した。


そうだよ。
いくら家族全員猫好きでも、預かるならお父さんにも相談しないと。

だけど、今日はちょうど仕事だから、終わるまで連絡が取れない。


もし預かったとしても、先住の猫がいる場合は、感染症にかからないよう隔離しないといけないらしい。



……可哀想だからって、そんな軽々しい気持ちで助けたわけじゃなかった。


小学校の頃からのサッカー仲間と水泳仲間はもちろん、学校に張り紙を貼って全校生徒に知らせようと思ったくらい。

職員室や保健室にいる先生達だけじゃなくて、事務室の先生や、校長先生、教頭先生にも相談しようと思ったくらい。


それくらい、本気でこの子達を助けたいと思ったんだ。


だけど……考えが甘かった。

預かるためにも、時間とお金、お世話する労力が必要なのに。


罪悪感に苛まれていると──。



「わかりました。全員、責任を持ってうちで預かります」