【短編】猫が運んだ淡い初恋


確かに、虐待されたような痕はなかった。

ってことは……何かの事情で育てるのが難しくなって捨てたのかな。


同情はしないけど、尊い命が失われずに済んで本当に良かった。

……と、安心したいところだが。



「猫ちゃん達の今後についてですが、数も多いため、里親募集をかけたいと思っております。
なので──希望者が見つかるまではお預かりしていただく形になります」



突きつけられた現実。

助ける前から予想はしていた。


だけど、飼ってくれる人が現れるかどうかを考えすぎて、預からないといけないことが頭から抜けていた。



「あの、病院で預かるのは……難しいですよね」


「そうですね。短時間であれば大丈夫なのですが、長期間は難しいです。

すぐ見つかるのならばいいのですが……やはり、猫ちゃん達の幸せのためにも、時間をかけて探したほうがいいかと……」



母の質問に獣医さんは申し訳なさそうに返答した。


獣医さんだって助けたいのは山々なはず。

けど、他の動物達のお世話もあるし、子猫達ばかりにかまってはいられない。