【短編】猫が運んだ淡い初恋


スマホを持っている市瀬さんが急いで電話をかけた。

子猫達の状態と場所を伝えたら、獣医さんと一緒に来てくれるんだそう。


雨が強くなってきたため、子猫達が濡れないよう、先程の東屋へ避難させた。



「あっ、こっちです!」



しばらくして、獣医さんと市瀬さんのお母さんの姿が見えた。

タオルと毛布で子猫達を包み、急いで病院へ。


いつ捨てられたのかはわからないけど、昨日が雨だったのもあり、体が冷えてかなり衰弱しているらしい。


お願いします。

どうかあの子達が無事であってください。お願いします。






──数十分後。

獣医さんに呼ばれ、市瀬さん親子と一緒に診察室へ入った。



「先程保護した猫ちゃん達ですが、震えも収まり、食事も少量ですが取ることができました」


「「良かったぁ……」」



彼女と顔を見合わせ、安堵の声を上げた。


お医者さんによると、およそ生後二ヶ月。

全員痩せ細ってはいるものの、ケガはなく、毛並みも比較的綺麗なことから、恐らく家で飼われていたのではないかとのこと。