ギュッと唇を噛みしめて、湧き上がってきた怒りと悲しみを抑える。
……許せない。
こんな小汚い袋にゴミみたいに入れて縛るなんて。
たとえ小さくても大切な命なのに。
「どうしようか。雨も降ってきたし、さすがにこのまま放って置くのも……」
「ですよね。でも……」
鳴き続ける猫達の顔を見つめる。
助けたい。
だって、この子達には何の罪もないんだ。
だけど……既にうちには二匹いる。
それにまだ、生まれて三ヶ月の子どもだ。
市瀬さんだってベルちゃんがいる。
もちろん、保護したからといって、必ずしも引き取らないといけないわけではない。
知り合いや学校の友達に頼んで飼ってくれる人を探してもらう方法もある。
けれど……もし見つからなかった時は、迎え入れる覚悟がないと。
それができないのなら……。
「……私、お母さんに連絡してみる。できたら、獣医さんに伝えてもらうよう頼んでみるね」
「……っ、お願いします」