「体調、優れないっぽい」
「そっかぁ〜張り切らせちゃったかな」
「それは関係ないと思うけど、今日は様子を見ようかなって」
「だな、うん。じゃあ、俺は帰ろうかな」
悠眞はお皿を片付けをし終わると立ち上がり制服を整える。
「じゃあ、送ってくよ」
「いいの? ありがとう!」
「凪斗、お前は食べて留守番してて。……芭奈ちゃんのことよろしくね」
そう言うと虹季さんは悠眞を連れて出て行ってしまった。玄関の閉まる音を聞きながら俺は冷めてしまった芭奈が作ってくれたハンバーグを温め直して食べる。
とても柔らかくてだけど肉汁がブワァッと出てきてとても美味しかった。食べ終わると俺は皿を洗いながら、芭奈のことを考えていた。
芭奈のことはここに来る前から知っていた。……というか片思いをしていた。
笑顔が可愛くて優しくてほんわかしている彼女に俺はずっと好きで、彼女が通る道をわざわざ通って認識してもらおうと思っていたくらいに。
それに、ここに来る経緯となった出来事は虹季に一通り聞いた。俺はそれを聞いて過去の自分を思い出した――……