それから和菓子を三人で食べて食器や日用品を購入し、有坂さんは服も買ってくれた。そういえば有坂さんってなんの仕事してるんだっけ……聞いたような気もするけど忘れちゃった。


「これくらいで、大丈夫です」

「え、いいの? もっと選んでいいよ」

「いや、そんなにいっぱい服があっても着れないですし」


 もうすでに何軒目かで、荷物持ちをしてくれてる凪斗くんの両手にはたくさんの紙袋がある。これ以上買ったら凪斗くんの腕が痛くなっちゃうし……


「そっか、なら仕方ない。帰ろっか。そろそろ焼肉屋さんにいこっか」

「はい。そうしましょう、ありがとうございました有坂さん」

「いいのいいの。俺のことも虹季って呼んでよ。凪斗だけずるい」

「え、はい……じゃあ、虹季さん」


 こうして引っ越し初日は終わった。なんとか凪斗くんとも仲良くできそうで安心した。