「……モカちゃんママ、モカちゃんパパ。いろいろやってくださってありがとうございました、本当に助かりました」

「私たちは全然大丈夫。だけど芭奈ちゃん、大丈夫?」


 私は、モカちゃんママとモカちゃんパパにお辞儀をすると家に入った。部屋は何ヶ月も帰っていなかったんじゃないかってくらい静かな空気が流れている。


「……ただいま」


 そう言っても、誰もおかえりって言ってくれる人はいない。笑顔で迎えてくれる人は……この家には存在しないんだ。