返すとか返さないとか、そういうプラマイゼロを保ちたいわけではない。それでも、どうしても。
わたしばっかりが白井くんに見抜かれて、わたしは知らないことばかりで、そりゃあ白井くんと比べたら情報収集力とか観察眼とか熱量がちがうかもしれないけど。
「友達のこと、ある程度──他のひとがあたりまえに知っている、かつ白井くんがいやな思いをしないことは知りたいですし、友達として、お世話になりつづけるのはいやなんです」
「宮坂さん……」
「…………え……っと、ですね。つまりは、その。あのタイミングや話の流れだったら、確かに、白井くんが理系だと明かすのは絶対ではないんですよ。わたしも質問しなかったことでしたし。それはわかってます」



