白井くんの解説を聞きながらリビングへと階段を降りていく。昨日の冷ご飯をあっためて、卵焼きを作って、ウインナーを焼いて。昨日の夜ご飯で取っておいたおかずもあっためて、お弁当箱に詰められる状態にしておく。出る直前に詰めよう。
「……って感じなんですけど、口頭だけだと伝わりにくいですかね」
「いえ! 雰囲気が掴めてきたので、あとで資料集見ながらまとめたらちゃんとレポートになりそうです」
「よかったです」
「ほんとうにありがとうございました」
「それじゃあ、始業10分前くらいに宮坂さんの教室に行きますね」
「……えっ、わたしが行きますよ」
「俺が行きたいんです。……ね?」
ね? ってなんですか? 破壊力。恐るべし。
「またあとで会いましょう。切りますね」
切れる直前、12分3秒、ってつぶやかれたのはたぶん気のせい。



