「お母さん」
「なあに?」
「お母さんのほんわかしてる感じ、すっごく好き」
「面と向かって言われると照れちゃうからやだー」
語尾にハートのつきそうな感じだったのに右ストレートでくらった。ちがうか、お母さん左利きだから左ストレートかもしれない。
「ごめん、いまプロレスの流れくるとは思ってなくて……返しがなんにも思いついてないや」
「がんばって思いついて! 仁乃ならできるよ!」
「応援する内容が独特すぎて……プロレスかけられるために相手を応援するって、──……やっぱりさ、殴り合いは仲良くないとできないよね」
「仲良くてもだめだよ?」
「あ、えと、言葉? の──ジェットコースターすれちがい、括弧、機体どうしが少し擦れ合います、括弧閉じ、みたいな……感じの……」
「確かにそれは仲良くないとできないねえ」
「だよね!?」
「うんうん。だから、白井くんに作ってみたらいいんじゃないかな」
え!? と声が出た。それも結構大きめの声。ほんとう、学習しなさすぎる。



