白井くん、頼んだら頼んだだけ撮らせてくれそうでそれはそれで怖いんだよね、なんて。
ほんとう、わたし、白井くんに何も返せないんじゃないかって思うんだけどな。
「お母さんさ、バレンタイン、だれかに作る?」
「えー? うん、仲のいいひとには作ろうかなあ」
「白井くんに作ったら、」
「うん?」
白井くんに作ったら、おかしいかな。って。聞こうとしてやめた。ほとんど言っちゃったし、気づかれた気もするけど。
手作り、重いかな。わたしが作ってもらう側だったら嬉しいって思うだろうけど、……いや、どんな重さでくるかわかんないからこわいけど、でも嬉しくも思う……と思う……。
楽しみにしてるって、家庭科の話の流れだったし、やっぱり手作りのことなのかな。だけど──。



